国内外の貴重な科学映像作品をデジタルアーカイブ化して全世界に無償配信している科学映像館の運営にあたっては当初から様々な課題があった。そのひとつは映像作品に係る著作権の問題である。著作権法では「総合芸術たる映画作品にあっては、その著作権は製作者に帰属する」と記されている。一方で実際の解釈や運用としては、スポンサーでもある企画者の権限が大きいこともあり業界内で必ずしも統一されていない面もある。そのため当法人は製作者および企画者から作品の使用許諾を得るにあたり交渉や調整に大変な時間と労力を費やしたことも度々であった。作品の権利関係の複雑さも相まって作品フィルムの保管についても曖昧となり、かくして貴重な作品の多くが死蔵化の一途を辿るという、科学技術立国を目指す我が国にとってまことに憂慮すべき状況となっている。さらに製作者の老齢化に伴い、制作活動停止、閉鎖した会社も少くない。その結果、作品は散逸して
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