昨年春にスーパーの店頭などで品切れが続出したバターが、一転して余剰感を増している。国内経済の低迷に伴う乳製品の消費減などが主因で、農水省によれば、在庫量は適正水準の2倍に当たる国内消費量の約5カ月分に達している。乳業メーカーが、原料の生乳を有効活用するために乳製品の中では長持ちするバターの生産に回したことも、在庫増に拍車を掛けた。 同省によると、景気の落ち込みを受けて、製パン業者や菓子メーカーが「原料用バターを割安な外国産などに切り替えてコストを低減した」(牛乳乳製品課)。家庭用も売れ行きが伸びず、国内在庫は海外からの追加輸入などで供給が安定した昨秋以降、増勢が続いている。 一方、雪印乳業が2007年秋に北海道の新たなチーズ工場を稼働させるなど、乳業各社は需要拡大を期待してチーズの生産能力を増強してきた。しかし、景気後退で昨年はチーズの消費量が前年を下回り、当てが外れた。そこで各社は、