【裁く時・第5部】(2) 台風18号が日本列島に接近した10月7日。徳島と大阪の両地裁で裁判員裁判が開かれていたが、いずれも翌日の公判が延期された。裁判員が出廷できない可能性を考えれば当然の措置だったが、その後の日程調整で対応が分かれた。徳島は判決を1日延ばし、大阪は当初の予定通り判決を言い渡すことにした。 両地裁ともこの日まで順調に審理が進んでおり、問題は判決を先送りにして評議の時間を十分確保するか否かだった。拘束時間が長引けば当然、裁判員の負担は増える。大阪地裁の判断の方が裁判員に受け入れられると思われた。 しかし、徳島の裁判員経験者からは「余裕をもって考えられた」と好意的な感想が寄せられたのに対し、大阪では「こんなに早く決めていいか不安だった」「被告の人生を決めるのには短すぎた。少し怒りを覚える」と不満が相次いだ。 10月末までに行われた47被告に対する裁判員裁判の評議の平均時間は6