生体腎移植を巡る臓器売買事件を受け、日本移植学会(寺岡慧理事長)は31日の理事会で、親族を装った生体移植が疑われる事例については、移植を実施する医療機関だけでなく、学会も審査に加わる方針を決めた。現行の倫理指針では、親族以外からの提供のみ学会が関与する規定になっている。学会は指針を改定することで、再発防止に向け学会の関与を強化する。 板橋中央総合病院(東京都)や宇和島徳洲会病院(愛媛県)を舞台にした今回の事件では、臓器提供者と提供を受ける患者の間の養子縁組が、移植決定の直前に成立しており、両者の年齢差も小さいなど不審な点が多かった。病院側はそれぞれ院内の倫理委員会で審査したが、結果として移植が実施された。 学会は、現行の倫理指針が「偽装縁組」を想定していなかったことから指針を見直すこととし、養子縁組や婚姻から数年経過しなければ移植を認めないとの規定を新たに盛り込むかを検討中だ。さらに、病院