精神療法における倫理を考える上で一つの参考になるのが、米国心理学会の動きである。米国においては精神分析に先駆けて1950年代にはethics code 倫理原則を作成する動きが生じていた。 これは第二次大戦で臨床に多く携わった結果として生じたことである。その結果であった倫理上のジレンマがその動因となった。現在では9回改訂されているという。 最近の倫理原則の設定には、治療原則に盲目的に従うことに対する戒めが加わっているのが興味深い。例えば米国心理協会の倫理則のIntroduction and Applicability には、 (1) allow professional judgment on the part of psychologists,専門家としての判断を許容する。(2) eliminate injustice or inequality that would occur wit