「作り手への迷惑行為が急増している」と語るアニメ監督の幾原邦彦さん=東京都三鷹市で2023年9月13日、宮本明登撮影 「私の作品が盗用されています。深い傷を心に負いました」――。有名アニメ監督の元に、SNS(ネット交流サービス)を通じて心当たりのない「抗議」が寄せられた。相手は見ず知らずの女性で、仕事仲間にも同様のメッセージが届き、事態は関係するイベントの中止にまで発展した。監督は女性に賠償を求める訴訟を起こし、法廷に立った。胸中にあったのは「京アニ事件」と、業界の未来への危惧だった。
SF漫画「コブラ」などで知られる漫画家の寺沢武一(てらさわ・ぶいち)さんが心筋梗塞のため、8日に亡くなったことが分かった。11日、寺沢さんの作品の公式X(旧ツイッター)で公表された。68歳。北海道出身。 公式Xでは、「株式会社寺沢プロダクション」代表の古瀬学氏が「寺沢武一ファンのみなさまへ(訃報)」として訃報を公表。「漫画家・寺沢武一は2023年9月8日に永眠しました」と伝え、「3度の脳腫瘍の手術を経ても、コブラその人のような生命力で生き抜いてきた寺沢武一でしたが、今回は本人も不意打ちを食らってしまったのでしょう。心筋梗塞でした」と記した。 そして「ここに生前のご厚誼に深く感謝し、謹んでお知らせいたします。なお、葬儀は家族のみで行います」とし、「寺沢武一の冥福をお祈りください」と結んだ。 寺沢さんは76年に上京し手塚治虫氏に師事。77年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)にデビュー作「コブラ」
「卵はもう以前の価格には戻らないだろう」――。卵問題に詳しい元東京農業大教授の信岡誠治さん(70)はそう予想する。鳥インフルエンザの感染拡大などをきっかけに、例年にない高値が続く卵。いつかは下がると多くの消費者は願っているだろうが、そうはならない事情があるという。「物価の優等生」と呼ばれてきた卵に今、何が起きているのか。【聞き手・宇田川恵】 中国の大量輸入に始まった餌代の高騰 ――卵の価格の高騰は鳥インフルエンザの感染拡大による供給量の減少などが原因ですね。 ◆それもありますが、一番の要因は鶏の餌代の高騰です。それは2020年に中国がトウモロコシの大量輸入に乗り出したことから始まりました。21年には中国の輸入量は約3000万トンに上り、一気に世界最大の輸入国になったのです。中国はそれまでトウモロコシをほぼ自給していました。その政策は変わらないとみられていたため、世界は衝撃を受けました。 ―
沖縄県のアンテナショップ「銀座わしたショップ本店」の店内=東京都千代田区有楽町で2023年5月23日午後4時57分、井上知大撮影 東京都内で特産品を販売したり、観光情報を発信したりする地方自治体のアンテナショップ業界に近年、異変が起きている。都心の一等地で営業していた店舗の閉店や、出店計画の中止が相次ぐ。第1号店のオープンから来年で30年。アンテナショップが直面している課題とは。 5月下旬、東京・有楽町の東京交通会館。全国各地のアンテナショップが軒を連ねるビル内でも、指折りの集客を誇るのが沖縄県の「銀座わしたショップ本店」だ。沖縄出身の歌手、安室奈美恵さんのヒット曲がかかる店内は、平日夕方にもかかわらず30人以上の客でにぎわい、かりゆし姿の店員が汗ばむほどの熱気に包まれていた。 「ここへ来てから来店客は5割増しになりました」と後藤友興店長が語る。1994年、銀座にオープンし、今年2月、現在
南米パラグアイのサッカーの英雄、ホセルイス・チラベルト氏(56)は16日、来年4月に予定されている同国の大統領選に出馬するとツイッターで明らかにした。チラベルト氏は、世界屈指のゴールキーパーながらPK、フリーキックのスペシャリストとしても活躍し、通算60以上のゴールを決めた。 チラベルト氏は、熟考の結果「よりよいパ…
単行本29巻で累計発行部数1900万部を突破した野田サトルさん原作の人気漫画「ゴールデンカムイ」(集英社)が、28日発売の週刊ヤングジャンプ22・23合併号で約8年間にわたる連載に終止符を打つ。魅力的なキャラクターによる冒険活劇が先住民アイヌへの関心を高めた功績は、各方面で評価されている。 高い画力 スリルとアクション 連載は2014年8月に始まり、明治末期の北海道や樺太(サハリン)が舞台。日露戦争の帰還兵である「不死身の杉元」こと杉元佐一とアイヌの少女「アシㇼパ」が、敵対勢力と戦いながら金塊を探し求めるストーリーだ。書店員など漫画ファンの投票で決まる16年の「マンガ大賞2016」で1位に輝いて一層人気が高まり、アニメ化にとどまらず、実写映画化も発表された。 高い画力で描かれた個性的な登場人物が織りなす、息もつかせぬスリルとアクション。躍動感ある展開はファンを増やし、アイヌが主題ではないに
「欧州のパンかご」といわれるウクライナの農業を支えるのが穀物生産に適したチェルノゼムという黒い土壌である。周辺国には羨望(せんぼう)の的だったのだろう。第一次大戦末期にウクライナを支配下に置いたドイツが貨車で土を持ち帰ったという逸話が残る▲冷戦後は外国資本も進出し「世界の穀倉」になった。世界の小麦輸出の12%を占め、ロシアの侵攻で小麦価格上昇が懸念されている。そんな豊かな大地が大飢饉(ききん)に見舞われたことがある。ソ連の一部だった90年前のことだ▲独裁者スターリンが農業集団化を急ぎ、抵抗する農民を弾圧した。不作が続いたにもかかわらず、穀物調達の過重なノルマを課し、1932年から翌年にかけて数百万人が餓死したとされる▲91年の独立後、「ホロドモール」と呼ばれる飢饉の暗い記憶が呼び戻された。民族主義を抑えるために意図的に引き起こされたという説もあり、ウクライナ議会は「ジェノサイド」と認定した
聖火リレーが取りやめとなり、セレモニーで涙を流す愛媛県の中村時広知事(手前)=松山市の松山城城山公園で2021年4月21日、藤井達也撮影 新型コロナウイルスの感染拡大のため、松山市での東京オリンピックの聖火リレーは、公道での実施が見送られた。大阪府(13、14日)に続く判断だったが、代替策として公園内を走った大阪とは異なり、ランナーが走らない初のケースとなった。松山市内で21日に開かれたセレモニーでは、聖火リレーの中止を決めた中村時広・愛媛県知事が、ランナーに走る機会を与えられなかったことを涙ながらにわびる一幕があった。 中村知事はあいさつの冒頭から「走るのを楽しみにしていた皆様にその機会を与えることができず、すみませんっ」と感極まって泣き出し「ぎりぎりまで悩んだが、人の命を守ることが最大の使命とリレー中止を決めた」と理解を求めた。「公道リレーの機会が与えられなかったこと、それを楽しみにし
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は11日、周囲に会長職の辞意を伝えた。森氏の辞任後、新会長が選出されるが、女子マラソン五輪2大会連続メダリストで、国際オリンピック委員会(IOC)の女性スポーツ賞を受賞している有森裕子さん(54)は「会長を交代すればいいということだけでは、また同じことが起きてしまう」と警告する。【聞き手・小林悠太】 五輪・パラリンピックはスポーツを通じて、心身の平和を願う祭典だ。競技会として世界一を決める世界選手権のようなチャンピオンシップとは異なる。選手だけでなく関わるすべての人が主役で、世界全体に問題提起をできる教育的な価値を持った場でもある。 特に東京大会は夏季五輪史上初めて男女平等の理念も含まれる「SDGs(持続可能な開発目標)」への貢献を掲げている。多様性の尊重を日本社会に根付かせる目的があった。今回の森氏の発言はその理念に逆行してい
女優の木内みどりさんは、福島県双葉町のアーチに掲げられた標語看板「原子力明るい未来のエネルギー」が撤去されることを知ると、標語の作者で撤去反対を訴える大沼勇治さん(44)の活動を支援する。木内さんは、後世にアウシュビッツ強制収容所のアーチを残さなければならないように、この看板も撤去してはならない、と訴えた。【企画編集室・沢田石洋史】 ラジオ番組で大沼さんと対談 連載22回目で紹介したように、木内さんは2014年7月に大沼さんと初めて対面した。そして同10月、大沼さん夫妻の案内で、福島県の帰還困難区域などを訪れている。この間、木内さんは9月に放送されたコミュニティーFMの番組「ラジオジャーナル」で大沼さんと対談している。木内さんは「双葉町に住んでいて、(原発について)疑問に思ったり、反対したほうがいいんじゃないかと動いていた方も(小学生だった)大沼少年の周りにはいらしたんですか」と尋ねている
老舗フルーツ専門店の「新宿高野」は今年3月末、カットフルーツやフルーツサンドイッチなどが食べ放題の「タカノフルーツバー」を閉店すると発表した。ニュースはすぐにインターネット上に広がり、本店の「タカノフルーツパーラー」が閉店すると勘違いする人も続出。フルーツパーラーは存続し、さらに店舗面積を拡張するという。同社広報は「フルーツパーラーのサービスをさらに上げるための取り組み。プロの味を楽しんでほしい」と意気込む。 新宿高野は1885年、「高野商店」として創業。1921年にフルーツパーラーの前身である縁台サービスが始まり、26年にフルーツパーラーを設立した。マスクメロンのパフェなど、高級感あるメニューにファンが多い。
菅義偉官房長官は13日の記者会見で、7月22日から始まる観光需要喚起策「Go Toキャンペーン」について「旅行者に『三つの密(密閉、密接、密集)』の回避などに気をつけた上で活用していただきたい」と述べた。新型コロナウイルスの感染再拡大に拍車がかかることを懸念する声もあるが、菅氏はキャンペーン延期は「全く考えていない」と強調した。 菅氏は新型コロナの感染状況について「たびたび申し上げているが、感染リスクをゼロにすることはできない。警戒感を持って注視しつつ、感染拡大防止と社会経済活動を両立していくことが大事だ。観光や飲食など業種ごとに作成したガイドラインによって感染防止策を講じ、適切に実施していきたい」と述べた。
男性が全身にやけどを負った状態で見つかったとんかつ店=東京都練馬区で2020年5月1日午後4時54分、鈴木拓也撮影(画像の一部を加工しています) 4月30日夜、東京都練馬区のとんかつ店で火災があり、店主の男性(54)が全身やけどで死亡した。男性は東京オリンピックの聖火ランナーに選ばれていた。新型コロナウイルスの感染拡大で大会は延期されたうえ、店も営業縮小に追い込まれ、先行きを悲観するような言葉を周囲に漏らしていた。遺体にはとんかつ油を浴びたような形跡があり、警視庁光が丘署は出火の経緯を慎重に調べている。 30日午後10時ごろ、同区の鉄筋ビル3階建ての1階に入るとんかつ店から出火した。煙に気づいた近所の住民の119番で消防隊員らが駆けつけると、床と壁の一部が焼けており、客席付近で男性が倒れていた。搬送先の病院で、約1時間半後に死亡が確認された。同署は現場の状況から男性が油をかぶった可能性があ
相模原殺傷事件について語るれいわ新選組の木村英子参院議員=東京都千代田区の参院議員会館で2020年1月6日、藤井太郎撮影 「彼だから事件を起こしたとは思っていない」――。2016年、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で障害者19人が殺害され26人が負傷した事件について、重度の身体障害がある木村英子参院議員(54)=れいわ新選組=はそう語る。木村氏自身も19歳までの大半を施設で過ごし、職員から虐待やいじめを受けてきたという。8日に始まる植松聖被告の裁判員裁判を前に何を思うのか。入所施設がはらむ課題と障害者差別について聞いた。【聞き手・塩田彩/統合デジタル取材センター】 「私だったかもしれない」 ――相模原事件の発生を何で知りましたか。 ◆テレビのニュースで知りました。「ああ、起こってしまった」というのが最初の印象でした。ニュースを見て、自分が施設にいた時の光景や、虐待を受けた時の記憶が
フィギュアスケート男子シングルで、ソチ冬季五輪5位、2014年世界選手権銀メダリストの町田樹(たつき)さん(29)。同年末に競技から退いた後も、プロスケーターとして、バレエ作品などから着想を得た芸術的なプログラムで人気を博した。今回、プロからの引退を記念し、集大成として「決定版作品集 そこに音楽がある限り―フィギュアスケーター・町田樹の軌跡―」(新書館、1万2000円+税、公式サイト)を刊行。作品集や引退後の活動について話を聞いた。フィギュアスケートはテレビや雑誌、アイスショーなどで人気のコンテンツだが、町田さんは、スケーターがタレントのように扱われ、消費されるさまに異を唱える。「本来はアスリートであり、アーティスト。裏側には、マスメディアに報道されない軌跡がある。リアルな実像を知ってほしくて、スケーター町田樹の軌跡を本書に収めた」と話す。【聞き手・高橋咲子】 制作者集団 「芸術面でサポー
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