とあるSESの現場では本番リリースの時期が近づいてきており、僕を含めた数人のエンジニアは間に合いそうもない残作業の開発を進めたり、本番で使うためのデータの整備を本番サーバー内で行ったりしていた。ほとんどがその案件のために集められたメンバーだったため特に和気あいあいとするでもなく、エアコンの風の音が響く小さなオフィスの片隅で静かに作業をしていた。 業務上のやりとりもRedmineで行われており、声を発するのもたまにメンバー同士で話をしたり、クライアントから電話がかかってきた時だけ。その日もメールで通知が届いてきており、確認してみるとRedmineで僕が関係しているチケットにコメントが届いているという通知だった。 通知のURLをクリックしてRedmineのチケットを確認してみる。 それによると一旦本番サーバー上に存在するデータの中の一部の主要データをCSV形式で送ってほしいという依頼だった。無