「緑青(ろくしょう)色の瓦屋根」と「しゃちほこ」。これらの言葉を聞いて、人は何を思い浮かべるだろうか。私の頭にパッと出てきたのは、名古屋城だった。白い壁に映える、銅製の青みを帯びた緑色の瓦。屋根のてっぺんには、金のしゃちほこが据えられている、名古屋のシンボルだ。 しかし、この言葉にひもづく建物は他にもある。それは名古屋城のすぐ近くにある、名古屋市役所本庁舎だ。中央の塔を見やると「緑青色の屋根瓦」と「しゃちほこ」を冠している。名古屋城は銅版葺であるのに対して、名古屋市役所で葺かれているのは陶製の施釉瓦。瓦と同じ緑青色のしゃちほこは、名古屋城のように2対ではなく、屋根の頭頂部から四方に視線を向ける「にらみ鯱」がある。 屋根部分に目を凝らせば、鴟尾のようなものも見て取れる。ますます城を思わせる。モチーフだけ切り取ると、名古屋城と名古屋市役所本庁舎は共通する点が多いといえる。それはなぜなのだろうか