アメリカのある農家が、みずからの広大な畑を利用して1900万円を手にできることになりました。農作物の販売で? いえ、違います。二酸化炭素の削減に取り組み、その「削減量」を売ったのです。こうした「削減量」の売買の仕組み。「炭素クレジット」と呼ばれ、いま、民間どうしの取り引きが活発化しています。かつてアメリカでは、金の採掘に人々が殺到する“ゴールドラッシュ”が起きましたが、炭素クレジットをめぐる状況は、新たな“ゴールドラッシュ”とさえ呼ばれています。(国際部記者 梶原佐里) 炭素クレジットが大きな収入につながったのは、アメリカ中西部オハイオ州の農家、リック・クリフトンさん。 およそ1200ヘクタールの広大な畑で、秋に大豆を収穫したあと、畑を使わない春までの間、収穫用ではないライ麦などを植えています。 もともとは土壌の改善のために始めましたが、より多くの二酸化炭素を土の中にとどめ、大気中の二酸化