思いやり予算をめぐる日米協議は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題の迷走に忍従してきた米政府が攻勢に転じる構図となる。「ビタ一文、上積みは認めない」(民主党幹部)と息巻いても米側は対中抑止力提供の対価だと一蹴(いっしゅう)する公算が大きい。在沖縄海兵隊のグアム移転で追加負担を引き出すことも視野に入れており、口先だけで「同盟深化」を唱えてきた民主党政権は高い代償を求められる。(半沢尚久) 米側が思いやり予算の大幅増額を求める背景には、深刻な国内事情がある。 対テロ戦の影響で米国防費は10年で倍増し、財政を圧迫する。5年間で国防費を1千億ドル(約8兆6千億円)節減するリストラを余儀なくされ、在沖縄海兵隊のグアム移転についても経費削減を求める議会の圧力は強い。 このため、米側には日本政府は日米防衛協力を強化するための努力を怠っているとの不満が渦巻いている。中国に対する抑止力と