縁無き衆生は度し難ェぜバカ野郎ども!! どいつもこいつもいっぺん死ね!! -幸村誠「プラネテス」第3巻Phase.13「風車の町」より 「死屍に鞭つなかれ」とは、例の偽道学者の言である。その人の生前にはテキパキと言いえないで、死後に悪罵する卑怯者は例外として、いやしくも非難すべき点があるのならば、その人の生前と死後との別なく、ビシビシと痛撃を加うべしである。 「彼は悪い奴であったが、モー死んだのだから憎むには及ばない。むしろその死を憫(あわ)れむべしである」と言うがごときは、自己本位の憎悪であり同情であって、我が身の生活に妨害を加うる敵者と見ての私情の流露に過ぎない。死屍に鞭つのを不道徳とするのならば、弓削道鏡は悪僧なり、足利尊氏は逆賊なりと論ずる歴史家をも責めねばなるまい。誰か国家的観念より出づる痛罵を非とせんや、我が国現行の刑法(※執筆当時の旧刑法)には左のごとき条文がある。第二百三十