中川正春文部科学相は9月27日の会見で、福井県に立地する高速増殖炉の実証炉の研究開発を1年間凍結することを発表した。その間、最低限の維持管理費の年間200億円のみの予算が割り当てられ、それ以外の研究開発の予算は7~8割ほどカットされるとのことである。結論からいうと、筆者は日本は今後も高速増殖炉の研究開発に地道に取り組んでいくべきだと考えている。なぜならばそれは先進国が人類の未来のためにやらなければいけない当然の責務のひとつだと信じているからである。 まず最初に高速増殖炉というのは何なのか簡単に説明しよう。高速増殖炉というのは、現在の軽水(要するにただの水)を利用する核分裂炉と違い、中性子のスピードを落とす軽水ではなく液体金属ナトリウムで核燃料から熱を取り出し発電する。高速というのは、この中性子のスピードのことである。軽水炉では希少なウラン235同位体を利用したが、高速中性子を利用することに