エッセイストで、武道家でもある内田樹(たつる)さんは、娘さんが6歳のときに離婚した。以来18歳で家を出るまで、1人で育ててきた。阪神・淡路大震災のとき2人は、小学校の体育館での避難生活も経験している。 ▼娘さんが巣立ってからも、何度も幼い頃の印象深いシーンが夢に出てきたそうだ。そのたびに「枕がぬれているなんてこともあるわけです」と、女性誌「婦人公論」のインタビューに答えている。 ▼厚生労働省の平成23年度の調査によれば、全国の父子家庭の数は、22・3万世帯に達している。母子家庭とはまた違った苦労、悩みがあるに違いない。北海道湧別(ゆうべつ)町で漁師をしている岡田幹男さん(53)は、2年前に奥さんを亡くし、小学3年生の夏音(なつね)さん(9)との2人暮らしだった。 ▼読売新聞によると、岡田さんは夏音さんのためにひな祭りのケーキを予約し、一緒に祝うのを楽しみにしていた。2日午後、北海道を吹き荒