「行ってきまーす。今日こそテストはバッチリだからね」 「この間も同じこと言ってたじゃない。今度こそお願いよ」 茨城県つくば市の中学校に通う男子生徒(14)と母親の笑い声が住宅街に響いた。今では男子生徒もすっかり明るくなり、つくば市になじんでいる。母親もそんな息子を少し頼もしく思い、いつまでも後ろ姿を見守っていた。 一家にとってつくば市は第二の故郷だ。平成23年3月の東京電力福島第1原発事故で福島県からの避難を余儀なくされた。東京でも暮らしたが、つくば市への定住を決めた。男子生徒も「大人になって出身を聞かれたら、『おれは福島県生まれだけど、出身地はつくば市』と胸を張って答える」と力を込めた。 こんなケースは決して珍しくはない。県防災・危機管理課や福島県避難者支援課などによると、茨城県内には2月時点で福島県から3708人が避難している。東京都(5141人)、埼玉県(4027人)に続き全国で3番