環境/資源保全 「循環型農業」を支える畜産経営の新しいビジネス・モデル 筑波大学大学院 生命環境科学研究科 教授 永木 正和 1.はじめに-課題と背景- 環境倫理、生命倫理などの観点から「環境保全型農業:Environmentally Sound Husbandry」や「家畜福祉:Animal Welfare」の重要性認識が高まってきている。が、高邁こうまいは倫理スローガンに耳を傾け、うなずけるのは一部の篤農家とくのうかに限られる。経済学が説く経済合理性規範に基づいて行動している普通の生産者には、必ずしもそうした倫理感で説きふせることはできない。倫理を受け入れるには、それを市場(消費者)が評価してくれなければならない。やはり、その動因として経済的インセンティブが必要である。 問題は、これをどのように引き出すかである。小稿は、日本農業が向かうべき環境に優しい農業、家畜福祉に配慮した農業を実現