グロービス・マネジメント・スクールで教鞭を執る、小西賢明氏による新連載。前回に引き続き、日本が誇る“ファストフードの至宝”吉野家について考察する。事実上の倒産とBSEによる原材料の輸入停止という2度にわたる危機を乗り越えて、いよいよ順風満帆?とも思える吉野家が抱える真の危機とは何か(本コーナーの記事は、公開情報を参考に、経営学の視点から各社の戦略を分析し、作成したものです)。 原材料の米国産牛肉の輸入禁止は、確かに危機。そして吉野家は、その危機を乗り切った。しかし。もっと大事な「危機」があるような。そんな気がしてならない。 本コラムの第1回「スターバックスコーヒージャパン『be juicy! 』――思い付きではなく、想いを巡らして、お客様を想う。」でも述べたように、マーケティングとは「わざわざ売り込みに行かなくても、お客様が購入しに来てくださる状況」を創出することである。それを安定的に