どうしてこの3作品を取り上げるかといえば、細田版、谷口版ともに原作小説と大林版を念頭においた上での“続編”だからだ。そこからは必然的に、芳山和子というひとりの女性の人生が浮かび上がることになる。 原作小説『時をかける少女』は、土曜日の実験室で人の気配を感じた芳山和子が、ラベンダーの匂いをかいで倒れてしまうところから始まる。この体験をきっかけにして彼女はタイムリープ(とテレポーテーション)ができるようになってしまう。 ©iStock.com 奇妙な体験に困惑する彼女を支えるのはクラスメイトの浅倉吾朗と深町一夫たち。やがていくつかの事件を経て、彼女はタイムリープ事件の原因が、同級生の深町一夫であることを知る。彼は未来からこの時代にやってきた未来人だったのである。 大林版は、大枠で原作の内容を踏襲しつつ、ひとつ決定的な変更を加えている。 原作小説の和子は中学生。クラスメイトに「わたしは、芳山さん
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