少女からの連絡 ―これまで裏社会や触法少年少女のリアルを、ノンフィクション作品として発表してきた鈴木さんの新刊『里奈の物語』は、初の本格小説。のちに巨大売春組織の統轄者になる主人公・里奈の生き様が描かれています。 執筆のきっかけは、主人公のモデルとなった人からの呼び出しだったそうですね。 '11年の夏頃、僕の『家のない少女たち』を読んだという女の子から連絡があったんです。それが「リアル里奈」でした。会うなり説教でしたね。「鈴木さんは不幸少女のカタログでも作りたかったのか」と。 彼女としては、売春する女の子にだってそれぞれの尊厳があるのに、まるで一緒くたに不幸であるかのように決めつけられていたのが嫌だったようです。 むしろ彼女は、売春をしてでも自分の力で生き抜いてきたことに誇りを持っていた。そんな彼女の話を聞いて、売春というものを被害/加害の視点ではなく、女の子たちが自由を勝ち取るための「戦