「パナマ文書」によって、「タックス・ヘイブン(租税回避地)」を利用する世界の政府要人や富裕層の実態が明らかになった。 中でも中国・ロシアなど新興国の首脳一族や側近による事例が目につく。蓄財の金額が大きく、国家経済に寄生虫のように住みついて私腹を肥やしている点で悪質度が高い。 中露のほか、大統領や首相の名前が出てきたアルゼンチン、マレーシアなど新興国に共通するのは、富の再分配を目的とする累進税率の相続税がそもそも税制度にないことだ。これが権力者一族による巨額の蓄財を許す温床になっている。 先進国は第2次大戦を機に相続税を導入 主要な先進国には相続税が導入されている。日本の場合、税率は10~55%であり、資産額が大きいほど税率が高くなる。明治時代の日露戦争で戦費調達のために初めて導入され、第2次大戦後は財閥への富の集中を排除する目的で改正された。 米欧でも相続税は主に第2次大戦前後に導入された
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