レッドブルの強さの秘密は、そのマーケティングにある。飲料業界の識者はそう口をそろえる。だが、そのマーケティングは、すべてを数字で計算するアメリカ型のそれとは毛色が違う。「長期視点」で「自前主義」。宣伝もイベントも自分たちで手をかけるのだ。 秘密主義のレッドブルの実態に迫る書籍『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』をもとに、オーストリア発飲料の先進的なマーケティングについて見ていこう。 「レッドブル、翼をさずける。」 これはレッドブルが1987年に世界で初めてオーストリアで販売開始になったときに使われたキャッチコピーだ。このコピーは現在でも世界中で使われているので、目にしたことがある人も多いだろう。 レッドブル創業者のディートリッヒ・マテシッツは、タイの実業家とエナジードリンク「クラティンデーン」のライセンス契約を結び、そのドリンクをヨーロッパ向けにアレンジした。主な変更点は、炭酸を