白井洋子先生(日本女子大学教授、アメリカ史)より、本書のためにエッセイをご寄稿いただきました。 民間人無差別大量殺戮と「憂慮する」兵士たち 白井洋子 ベトナム戦争終結から40年目の今年、アメリカ合衆国国防総省のホームページは「ベトナム戦争50周年記念」として、ベトナム戦争従軍兵士とその家族に感謝し、栄誉を讃えるさまざまな企画の報告記事と写真で飾られた。そこでは40年前に敗北した戦争終結の歴史は何も語られていない。米国政府は1965年を公式なベトナム戦争開始の年としている。その前年の64年8月、米国は、トンキン湾事件への報復として北ベトナムを爆撃し、翌65年2月以降、北ベトナムへの継続的な空爆作戦を展開した。3月には、米軍最初の地上戦戦闘部隊として海兵隊2個大隊3500人が沖縄の米軍基地からダナンに上陸、7月、同じく沖縄から発進した30機のB52がサイゴン南東地域を爆撃した。戦争のアメリカ化
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