気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 〈奇人ですよねえ……。だって昭和二十年代から書いているんだよ、一つの小説を(笑)。まるで日本共産党だよね〉 埴谷雄高について問われて、そう語るのは、音楽家の坂本龍一さんだ。 父が河出書房の編集者だった縁で、子供の頃から「はにやさん」の名前は耳にしていた。高校になって、埴谷の小説に出てくる「自同律の不快」とはどういうことか考えたという。 埴谷雄高とは、大長編小説『死靈』は「いくら読んでもわからない」とされ、ベストセラーとは程遠い作品ながらも戦後50年間これを書き続け、ある種神格化された存在でもあった。本書は、その埴谷雄高について、彼と関係のあった27人に話を聞いた、ロングインタビューの集積だ。 27人の内訳は、作家や編集者、評論家が多いものの、