沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか [著]安田浩一 ジャーナリストがジャーナリストの話を聞く。取材対象は琉球新報と沖縄タイムスという沖縄の2大新聞の記者とOB約20人。 取材のキッカケは自民党「文化芸術懇話会」での作家・百田尚樹氏の発言(2015年6月25日)だった。「沖縄のあの二つの新聞社はつぶさなあかん」。翌日、2紙は共同で異例の抗議声明を出す。抗議のポイントは「つぶせ」発言ではなく、次の部分だった。「普天間基地は田んぼの中にあった。周りには何もない。そこに商売になるということで人が住みだした」 なぜこのようなデマがまかり通るのか。「問題の本質は沖縄に対する蔑視、差別だと思うんです。一作家の失言や暴言というレベルで捉えるべきものじゃない」とある記者はいう。 普天間基地の敷地内にはかつて10の集落があり、約9千人が住んでいたが、住民が捕虜収容されている間に米軍が土地を鉄条網で囲い、家