日中歴史共同研究報告書の執筆者が贈る,日中問題の総決算――日本版『我が闘争』として知られ,時代の荒波に翻弄された怪文書「田中上奏文」を主題に,今日に至るまでの日中関係と歴史認識問題の全体像を描く.蒋介石,ローズヴェルト,トロツキー,松岡洋右,そして戦後の東京裁判・国際検察局,フルシチョフ,江沢民など,多彩な人物が繰り広げる群像劇を通じ,歴史の真相と本質に迫る. 序 章 「田中上奏文」とは何か 第一章 昭和初期の日中関係――1927-1931 一 「田中上奏文」の起源――東方会議前後/二 「田中上奏文」の流通/ 三 駐華日本公使館と国民政府外交部/四 中国東北の排日運動 第二章 満州事変後の日中宣伝外交――1931-1937 一 満州事変/二 中国国民党と反日宣伝/三 上海事変と「田中上奏文」の流布/四 リットン調査団と日中論戦/五 リットン報告書と日中「協力」/六 国際連盟――松岡洋右・顧