■日本人の感性を劣化させる紋切型 国会で憲法学者がそろって「戦争法案」を違憲だと断じて、政権幹部たちの慌てふためきようが笑える。憲法学者の権威を否定しようと躍起になって、そのうち「オレがオキテだ」と言い出しかねない勢いだ。 政治家のオツムが劣化しているが、それへのマスメディアの反応、世間の反応は鈍い。なんでこんなことに?と思いながら、武田砂鉄の評論『紋切型社会』を読んで納得した。日本中でオツムが、感性が劣化している。劣化しているところにはびこるのが紋切型の言葉であり、紋切型の思考だ。 著者は昨年秋まで河出書房新社の編集者だった人で、今年33歳。これが初めての著書である。結婚披露宴で新婦から両親に告げられる「育ててくれてありがとう」だの、老害論客がしたり顔で言う「若い人は、本当の貧しさを知らない」だの、ドキュメント番組でインタビュアーが得意気に言う「あなたにとって、演じるとは?」など、20の
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