古事記―日本文学全集01 [訳]池澤夏樹 「日本文学全集」の第一巻として、この全集の個人編集を手掛ける池澤夏樹自身の訳による『古事記』が登場した。日本最古の「文学」といわれる『古事記』の現代語訳には幾つもの偉業が存在しているが、本書の試みはまったくもって野心的である。挑発的と言ってもいいかもしれない。 八世紀のはじめ、太安万侶(おおのやすまろ)が元明天皇の命によって編纂(へんさん)し献上した、この国の成り立ちと進みゆきを纏(まと)めた書物が『古事記』である。本書の冒頭で池澤は、太安万侶への手紙という形式で翻訳の方針を述べている。脚注を全面的に導入して語彙(ごい)や語源を補足・解説すること。文体はオリジナルの語調を尊重しつつも思い切って今風にすること。主にこの二点によって、池澤版はこれまでの『古事記』訳とは大きく異なる風情を獲得することになった。 イザナキとイザナミの会話は、こんな具合。「き
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