岩手県出身の詩人・宮沢賢治の自然模写に触れながら生涯を概観する本「宮澤賢治 雨ニモマケズという祈り」(新潮社)を、紫波町在住のエッセイスト沢口たまみさん(51)が出版した。編集作業に入った矢先に震災が起きた。沢口さんは「賢治は自然災害への恐れと表裏一体な面も読み解いている」と話す。 賢治は1896年の明治三陸地震の2カ月後に生まれ、1933年の昭和三陸地震の半年後に亡くなった。今回の震災後、俳優渡辺謙さんが「雨ニモマケズ」を朗読した映像が動画サイトで流され、国内外で反響を呼んだ。 7月末に刊行された本は、口語詩「春と修羅」や短編「注文の多い料理店」などを解説しながら、鳥や花、山などについての賢治の巧みな表現に迫る。沢口さんは「作品を読むのは自然の中で書き漏らした大切な言葉を探し出す作業に似ている」と語る。 「間もなく地面はぐらぐらとゆられ、そこらはばしやばしやくらくなり、象はやしきを