カーネーションの4年ぶりの新作『Multimodal Sentiment』が、本当に素晴らしい。直枝政広の別ユニットでの活動や大森靖子のプロデュース/楽曲提供などを挟み、じっくり熟成された全12曲には、あちこちに古今のロック名曲の断片が散りばめられ、さながら、聴く者にロックの幸福な記憶を喚起するような、そんな楽しさと切なさ、懐かしさと新鮮さを湧き上がらせてくれる。朗々としたポップなメロディと緻密な演奏は、さすがに結成30年を迎えるベテランだが、手垢にまみれたルーティンにはまったく聞こえないのはさすがである。ゲストも多彩だが、とりわけ大森靖子とのデュエット曲「無修正ロマンティック」の続編は聞き物だ。(小野島大) 「一個一個(の課題に)決着をつけていく時なのかなって」(直枝政広) ーー約4年ぶりの新作です。カーネーションのオリジナル・アルバムとしてはもっとも長いブランクを置いてのリリースとなり