観る者の予断を翻弄し続ける特異な作品群によって世界の映画シーンを震撼させてきた奇才・黒沢清。彼が思考する“ホラー映画”、ひいては“映画”というメディアそれ自体のリミットはいかにして作品に刻み込まれているのか。『CURE』以降の6つの作品を解体・再構築しながら、断絶と接続の二重性=“断続”というキーワードによって、映画創作の核心に迫る、初の本格的黒沢清論。 二重性の二重化 第1部 “関係”の重層―『CURE』をめぐって(媒介者の肖像―『CURE』の系譜 「断続」をめぐる闘争―「関係」の映画としての『CURE』) 第2部 “非‐人間”と“断言”の未来―ホラーのリミット(「決定」をやりなおす―『回路』の壁の染み 根拠なき分身―『降霊』から『ドッペルゲンガー』へ) 第3部 “過去”の明滅―出会いの準備(事後の光―『LOFT』と「過去」の問題系 記憶喪失者のフラッシュバック―『叫』における「出会い」