“24時間連続飛行”への挑戦を終えて 化石燃料をいっさい使わず太陽エネルギーだけで飛ぶソーラーインパルスの基本構造について、最初に簡単におさらいしておこう(前編はこちら)。 2009年に完成したソーラーインパルスのプロトタイプ機“HB-SIA”には、基礎部分にカーボンファイバー(炭素繊維)複合材料が使用された。機体重量は乗用車1台分と同じわずか1600キロ。しかし両翼の端から端までの長さは63.4メートルある。これはエアバスの大型機A340と同サイズだ。その大きな主翼に設置した1万2000個の薄型ソーラーパネルで太陽エネルギーを吸収し、4つのモーターに最大10馬力の電力として供給する。昼間の飛行で充電したエネルギーは400キロのリチウム・ポリマー電池に蓄積し、その電力を利用することで夜間フライトも可能に。推進システム全体の効率を最大限に高めた結果、スクーター並みの馬力で飛ぶことを実現した。