『TPOをわきまえない話』
講演の依頼は基本、受けないことにしているが、恩人経由の依頼はお受けすることがある。 そしてできるだけTPOをわきまえた話をするように心がけている。 ところが一度、大手電気メーカーS社の入社式だったか新入社員研修だったかで講演を依頼されたとき、数百人の新入社員を前に 「こんな大手に入ってどうする、ベンチャーに来い、DeNAで待つ」 と言ったことがある。10年前かな。 とくにお咎めはなかったが、その後S社からは一切声がかかっていない。 それから４－５年は、値段が大きく異ならない場合はS社製品を購入し贖罪に努めたが、ここ数年はその記憶も薄れていた。 ところが去年、「お待たせしました」とそのときの新卒がひとりS社から転職して来た。 へえ、覚えていてくれたんだ。 M野氏。 今や当社の国際法務の中核を担う。 いつかゆっくり話したいと思いつつ、いつもお互い忙しくて業務上の短いやりとりだけだったけれど、今
『シアトル便』
新幹線並みとは言わないが・・・飛行機だってある程度、時間通りに動いてほしいものである。 その点アメリカの国内線はひどい。 前にもトイレの故障ごときで飛ばなかったシカゴーサンフランシスコ便の話を書いた。（こちら ） 今度はサンフランシスコーシアトル便。 夕方にはシリコンバレーに戻れるようにと朝８時半のフライトをブックした大ちゃんと私は８時には他のみんなと一緒に行儀よく搭乗し、あとは出発を待つのみ。。。 待つのみ・・・と４０分ほど待ったらアナウンスがあった。 「パイロットが遅刻しています」 うわっ、さすがディスクロージャー王国、正直だねー、日本の航空会社ならそれは言わないねー、などと最初は余裕があった私たち。 しかし待てど暮らせど遅刻のパイロットは姿を現さない。 しばらくたつと 「パイロットの到着を待っているが、念のため、他のパイロットをリクルートする試みを並行してやってます！」というアナウン
『はぎちゃんおめでとう』
人事のはぎちゃんの結婚式。 はぎちゃんラブなさくらの複雑な心境をつづります（チコママ 風） じゃーん と言うのもさくらははぎちゃんラブで有名でした。 思い出す、あの濃密な日々・・・ あたしじゃダメだったの・・・毛、多すぎ・・・・？ しかし、さすが犬出身、切り替えも早い ジャーニーの末・・・ 注）飼い主です（泣） 意外と身近な落ち着き先でした。
『１０周年』
前職のコンサルタント時代、創業５０年とか１００年という話を聞いても「古い会社なんだ」くらいの感想しかもたなかったが、自ら会社をやってみて、たった１０年でも会社が生き続けることがいかに大変かを実感し、歴史のある会社に心から敬意を払えるようになった。 そんなアタクシ達の１０歳の誕生日を祝う創立１０周年記念パーティは社員だけで好きなように盛り上がろうと決めていた。 祭りの好きな私は、企画段階から激しく前のめりで、自分自身がOZMAのアゲアゲをNHK紅白歌合戦顔負けの巨乳ボディスーツで踊り、スクリーンに 「夢の豊満経営」 とドでかく投影するプランを打ち立てた。広報も総務もそんな私を止めなかった。 準備段階のある朝しかし、「社格」という言葉が私の頭にまつわりついた。まだ私を普通の立派な社長と思っている新入社員も多いしなぁ・・・。 結局この企画は自主撤回し、ボディースーツは人材開発部長のM原にゆずって
『悩み』
最近ずっと悩んでいることがある。 トライアスロンを始めるかどうか、ということについてだ。 この悩みは先月行われた知人の会社のお祝い会で始まった。 立食パーティだろうと思い、ちょっと顔を出して仕事にもどろうと参加したら、着席式で、ダイエット中なのにおいしそうなお肉も出てきて誤算の連続。 そこで私がはめ込まれたテーブルは私以外全員がトライアスロン仲間というテーブルだった。 このひとたち、年齢も性別もバラバラで、社長さんや校長先生や家元など、職業もバラバラだけれど、性格がサバサバしている、わりとおおざっぱな生き方をしている、など、トライアスロンをやっている以外にもいくつかの共通点が認められる集団だった。 お仲間の中にひとり入ると、通常は盛り上がる内輪話をひとり静かに聞ける、というわりとおいしいパターンになる。今日はのんびり観察でもするか。 などと思ったら、すぐにこれこそ大誤算ということがわかった
『幻魚』
昨日会食した方は釣りが趣味で、将来リタイアしたら すし職人をする、というとんでもない高い志を持っていた。 最近、釣りが趣味という人、結構いるね。 ついこないだ風が強い朝、海辺を散歩していたら、 堤防で釣りをしている人が見る見る間に高波で取り残され、 ヘリが出動して救助されるのを一部始終観察することになった。 そのときは心の底から人騒がせなひとたちだと思ったが、 海釣りが好きだという人はだいたい面白い人が多い。 堤防で釣るのもオツだけど船で沖に出る人も多いみたいだ。 マッキンゼーの先輩の波頭さんがスゴイ。釣りの話になると ものすごく張り切る。そして際限なく知識フルで面白い。が、少しでも 関心を示すとかなりしつこく誘われる。朝が苦手な私は常に 注意深く回避しているが、旦那は一度波頭さんについて行った。 随分前の話。まだ私はマッキンゼーでコンサルタントをしていた。 朝２時くらいに世田谷を出た旦那
『ノスタルジックな胃袋』
ボストンに来ている。 12年ぶりだろうか。 ボストンなどというところは、特別な用がなければ来ない ところだ。 こちらに住んでいた大学院時代、ほぼ毎日のように チャイナタウンの潮洲菜館という店で飲み食いしていた。 店員の愛想はすこぶる悪いがその店の隠れメニューの ・あさりのブラックビーンソースかけ と ・チャイニーズブロッコリのオイスターソースかけ が好物で、毎日その２品は欠かさず頼んでいた。 ９０年に卒業し、６年後くらいに一度出張でやって来たときも 潮洲菜館に行って見た。するとおどろいたことに、以前と 変わらずものすごく無愛想な顔をしている店員が、 こちらがオーダーする前にドンとその２品をテーブルに置き、 ものすごく無愛想にひさしぶりじゃん、と言った。 へぇ、あさりとチャイニーズブロッコリー、覚えていてくれたんだ、 すごっ。究極のCRM。在学中２年間の無愛想と今日の 無愛想をすべて許すよ、
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『ア行の時代』
M原率いる人事グループに 苗字別採用を提案することにした。 DeNAは多くのワタナベ姓により組成され発展して来た。 もともとは一緒に会社を作ったワタナベが、自分より賢いやつを 連れて来いと言ったら兄貴を連れてきて、監査役が足りない、 となったら父親を連れて来て、皆同じ印鑑でいいから便利とか 言っていたことから始まった。 それからワタナベ採用に勢いがつき、一時は２５人くらいのワタナベ がいて、なべプロなどと自称していた。 しかし先日ある雑誌の編集部の友人と話していて盛り上がり、 これからはア行を重点的に採用してはどうかという話になった。 アイカワとかアイザワとか。五十音順でもアルファベットでも 最前列の彼ら彼女らは、常に何事も最初にあてられる。十分に 思案する時間などなく、突然身に降りかかった難題、それは 自己紹介だったり質問への回答だったり、運動や作業だったり、 ありとあらゆる類のものだが
『DeNAのイノベーションラボ』
エンジニアが２０％は今の仕事から離れて自分の興味を追求する というような制度がよく話題になる。で、金曜日とかをブロックしたり。 これはうまく行かないと思う。 少なくともわが社ではゼッタイにうまく行かない。 わが社のエンジニアはビジネスの最前線で戦っている。 たとえばネッシー事業チームのエンジニアは、寝ても覚めてもネッシーで アタマがいっぱいだ。あと５分時間があればネッシーについて悩み、 考え、手を動かす。 いまだド赤字のネッシー。エンジニアも、企画やマーケとともに 責任を負い、事業発展の戦略を悩みぬく。 赤字じゃないサービスだって同じだ。もっとよいサービスにするために、 もっと大きな事業にするために、１分１秒をささげている。 そのエンジニアに、さーて今日は金曜日、今のプロジェクトのことを ぱーっと忘れて自分の興味を追求して、なんて言ったら・・・アタシ、 刺されると思う。てか、無視されるだけ
『がんばれ社長室！』
事業の立ち上げをミッションとする社長室の室長Ok保にとって 新規事業で黒字を出すのはゴルフで７０台を出すよりずっと 難しいらしい。 ミーティングで 「あのー新社屋の椅子ですけど」とOk保が楽しそうに切り出した。 「椅子要らないですよ。 みかん箱かビール箱でいいです。 座ってる時間ないですから」 それを聞いて私のアシスタントのポンチョさんが 心から楽しそうに言った。 「ならガバン（画板）でいいですね。首からぶら下げるの ありますから」 そうだよねぇ、新規はまだ赤字だしね～ ということで、社長室メンバー全員、椅子は絶望的、机まで 危機的な状態に陥り、社内ゴルフコンペのベスグロ賞品が 画板に決まった。
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