2013-12-12 共感が人を殺す?他罰的想像力の倫理的欠陥、アルベール・カミュ「異邦人」の倫理問題とフリードリヒ・ニーチェの「奴隷道徳」 罪と罰と復讐 - 指揮者だって人間だ。 この記事を読んでインスパイアを受けたので書いてみます。 「異邦人」の倫理問題 「太陽が眩しかったから」 裁判で殺人の動機を問われた主人公ムルソーは逡巡の上でそう答えた。それを聞いた陪審員や検事、傍聴者は驚き、そんなことで人を殺したのかと彼に対する死刑判決を求める。彼らをそうさせたのは、ムルソーの殺人動機に対する共感性の低さだ。 「太陽が眩しかったなんて理由で人を殺してしまう人間は、頭のイカれたサイコキラーに違いない」 裁判に同席したムルソー以外の人間はそう考えた。しかしそれまでの描写から、ムルソーがそのようなサイコパスではないことは見て取れる。彼は彼なりのイデオロギーのなかで論理的に考え、その価値基準に