初ノミネートから足かけ10年、4度目の正直での受賞。「異類婚姻譚」(群像11月号)で芥川賞に輝いた本谷有希子さん(36)は、紺のブラウスに黒のクロップドパンツというシンプルな装いながら、左右柄違いのソックスで遊び心を見せた。撮影と会見には終始、晴れやかな笑顔で応じていた。 --受賞の感想を 「いま頭が真っ白な状態で。(先に会見を行った)滝口(悠生)さんのコメントを聞いて、ああいう風に率直に言っていいんだなと安心しました」 --選考委員の奥泉光さんが選評の中で「説話の構造を現代小説に生かすことに成功している」と評価をされました。その一方で「これまで本谷さんにあった凶暴さが失われて残念だ」という否定的意見もあったそうだが、どう思いますか 「わりと今まで激しい欲望、感情を持った人たちが登場する小説を書き続けていた。確かに(今回の主人公)専業主婦のサンちゃんは激しい感情に突き動かされることもなく、