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ブックマーク / qfwfq.hatenablog.com (3)

  • 『神聖喜劇』そして/あるいは『ボヴァリー夫人』 - qfwfqの水に流して Una pietra sopra

    『神聖喜劇』読了の余熱のなかにいまも佇んでいる。文章を書くと、つい、パーレン(この丸カッコのこと)のなかに補足説明をしたり、自分の書いた文章をカギカッコで引用したり、と大西巨人的文体にどっぷりと浸っている。影響を受けやすいんだね。才子ならねど軽薄なり。わたしだけかと思ったら、河出から出た『大西巨人――抒情と革命』に千野帽子さんもそう書いていた。恐るべし、大西巨人的文体の伝染力。近々『日人論争――大西巨人回想』も出るので、この熱はしばらく醒めそうにない。以下に書くのは、その余熱のなかで考えた由無し事である。 「エディターシップ」(Vol.3、日編集者学会)という冊子に、井出彰氏が「「日読書新聞」と混沌の六〇年代」という文章を寄稿している。セミナーでの講演を文字に起こしたもので、なかなかに興味深い内容だったが、ひとつ、肝銘を受けたエピソードを紹介しておきたい。 大学生が「日読書新聞」を

    『神聖喜劇』そして/あるいは『ボヴァリー夫人』 - qfwfqの水に流して Una pietra sopra
  • qfwfqの水に流して Una pietra sopra

    三谷幸喜が朝日新聞の連載コラム「ありふれた生活」(7月20日夕刊)で、彼が監督した『ザ・マジックアワー』が、昨年、中国でリメイクされて大ヒットしたと書いていた。日円にして530億以上の興収で、これは中国映画全体の年間第3位の興収だという。日では約40億円だったというから10数倍になる。ま、桁が違いますからね、人民の。中国版『ザ・マジックアワー』は『トゥ・クール・トゥ・キル――殺せない殺し屋』というタイトルでこのたび日でも公開(7月8日~)されたというから、機会があれば見比べてみたいと思う。 この映画『ザ・マジックアワー』に、往年の映画スター役で出演した柳澤愼一さんが亡くなられた。先月28日、去年の3月24日に亡くなったと日歌手協会から発表された。死因は「骨髄異形成症候群」だという。死後15ヶ月経ってからの発表は、おそらく御人の遺志なのだろう。柳澤さんらしい、と思う(血液のがんなの

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  • カフカ翻訳異文 その2 - qfwfqの水に流して Una pietra sopra

    さて、光文社古典新訳文庫の『変身/掟の前で 他2編』を読んで当にびっくりしたのは、訳者あとがきに指摘されていた次のような事実であった。 光文社文庫収録の短篇「判決」に、こういう箇所がある。 「ぼくはほんとうに幸せだ。そして、君との関係もちょっと変化した。といっても、君にとってごくありきたりな友人ではなく、幸せな友人になったということにすぎないのだが。いや、それだけじゃない。婚約者が君によろしくと言っている。」(14ページ) これは主人公のゲオルク・ベンデマンが友人にフリーダとの婚約を報告する手紙の一節だが、これを池内紀さんは白水社版カフカ小説全集4『変身ほか』でこう訳している。 「ぼくは幸せだ。だからといって君との友情に変わりはない。彼女は君によろしくと言っている。」(42ページ) 「判決」はカフカが生前に出版された小説であるから、テクストは確定されており、どのエディションでもほとんど異

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