千夜千冊で女性マンガ家をとりあげるのは、 萩尾望都、杉浦日向子、大島弓子、高野文子についで5人目だ。 でも岡崎は誰にも似ていないし、ぼくには眩しすぎる。 ニューウェーブで痛々しく、無償の東京パンクで、 人物は四谷シモン人形っぽく、お洒落なのに心が濡れて、 ストーリーはあまりにも暗示的で、超ナイーブだ。 できればそっと、岡崎京子を読んでいたい。 2台の葛藤と矛盾の自転車が 全速力で行き交って走って、 そのあと溜息をついているような、 そんな作品を男前に描き続けてきたのは、 岡崎京子だけなのである。 少女マンガを追跡しているわけではないぼくが、もう少し正確にいうと、40代以降は少年ものや少女もののマンガ雑誌にほとんど目を通さなくなったぼくが、ふいに岡崎京子が気になりはじめたのは、思い出せるかぎりは「月刊カドカワ」で岡崎京子の特集が組まれたのを見てからのことだ。 やんちゃだけれど男前で、背景はト