たとえばチェスキンの研究にはピアレビューがなかったが、現代ではほぼすべての論文がきちんとほかの科学者による検証を受ける。期待が味覚にもたらす影響についても、その後にピアレビューを受けた論文が何本か発表されている。 2006年にテキサス大学オースティン校マコームズ・スクール・オブ・ビジネスの教授ラジ・ラグナサンが行った研究もその一つだ。 食品がヘルシーであるという情報をあらかじめ教えられていた場合、その期待が味の評価をどう変えるか調べている。 ラグナサンの実験では、被験者にインド料理と飲み物をふるまった。半分のグループには、ラッシーは健康に効くドリンクだと教える。残りの半分のグループには、ラッシーは健康にいいとかそういう類のドリンクではない、と教える。食事のあとに味の採点を求めると、ラッシーは健康とは関係ないと思わされた被験者たちのほうが、そうでないグループと比べて55%も高く料理を称賛して