熱帯地方に多いデング熱を媒介する蚊の体内に、病原ウイルスの活動を抑える共生細菌を感染させることで病気拡大を防ぐ予防法を豪クイーンズランド大などの研究チームが開発した。25日付の英科学誌ネイチャーに発表する。 デング熱は、東南アジアやオセアニアなどで毎年5000万人が感染し、高熱や頭痛などで、死に至ることもある。旅先での日本人感染者も増えている。ワクチンはなく、蚊に注意するしかないのが現状。蚊の駆除のため、殺虫剤散布が行われるが、生態系への影響が懸念されている。 研究チームは、蚊やハエの体内に生息する共生細菌「ボルバキア」に着目。デングウイルスの働きを抑えるショウジョウバエのボルバキアを、デング熱を媒介するネッタイシマカに注射し、感染が確認された約30万匹を、今年1~3月、豪クイーンズランド州の野外に放った。約2週間後に細菌を持つ蚊の割合を調べると、15%以上が細菌感染の蚊で、3か月後には9