「重保はどうであろうか。十五になったことでもあるし、そろそろ大人の役目もさせてみなければならぬ」 が、成清はやや困惑したような表情である。 「如何致したか」 「重保どのは真正どのとは違うかとは思いますが」 すでに過去の話となっている件を期せずして成清は蒸し返す。直情径行な真正は感情的になって我を張ることがままあり、それがために任地である沼田御厨で諍いを起こした。 額に傷を負わせた伊勢三郎への恨みが根底にあり、御厨の事実上の領主であった員部家綱と三郎とのつながりを口実としてのことであった。 どうしても私怨が先行しがちであったことは否めない。 それに比べて重保は個人的な感情よりも物事の筋道に頭を巡らす方だが、それがゆえに理屈に合わないことへは激しく反発する。父や兄たちにも遠慮なく物を言うこともある。そうした性格が周囲と摩擦を生じさせないかという危惧もなくはない。 成清が言うように、内面的なもの