ジャック・ロジェ奇跡の特集上映から始まった2010年は、その後、イーストウッドの『インヴィクタス』、北野武『アウトレイジ』、ベロッキオ『勝利を』、オリヴェイラ『コロンブス 永遠の海』、クリス・ノーラン『インセプション』、ペドロ・コスタ『何も変えてはならない』、そして、12月にはゴダールの新作も公開されるという、色々な意味で新たな10年の始まりを告げるのに相応しい1年になりつつある。そして今週末、その中でも最も重要な作品とでも言うべきひとつの作品がこの”新たな10年”の流れに名を連ねることになる。 2年前の東京国際映画祭、『シルビアのいる街で』上映2日前にヴィクトル・エリセから蓮實重彦宛に送られてきた一通のメールから始まったゲリンを巡る熱狂が、ついには日本でのロードショー公開、そして、来る秋の東京国際映画祭での新作上映という理想的な形で多くの観客に披露される運びとなったことをまずは大いに喜び