半ば強制的に連行されたうえ、人体実験の「実験台」にされ、破傷風で苦しみながら死んでいく―かつて日本軍に惨たらしく殺された人々がいた。多くの日本人が知らない歴史の闇を明らかにする。 本記事は後編記事です。前編記事『「口は開かず、体をねじまげ、のたうちまわり」…かつて日本人がインドネシア人に行った「残虐な行為」』 スケープゴートにされた インドネシアでも一部を除いて、これまでこのシナリオに疑義を挟む人はいなかった。だが前出の倉沢氏は、この「モホタル謀略説」への違和感を強く述べる。 「日本側はモホタルの犯行動機を『ロームシャの待遇改善を喚起し、さらにまたインドネシア人の反日感情を刺激して軍民の離反を狙うため』としています。しかしインドネシア人医師が同胞のために、同じインドネシア人を無差別に殺害するなんて、どう考えてもおかしいでしょう。現地でも少しずつ冤罪だという声が上がるようになり、事件の再検証