誰かが誰かを気に掛け、世話する「ケア」。ケアを中心に据えると社会や人生はもっと豊かになると提唱する学者がいる。寸暇を惜しんで本を読み、論文を書きまくる「モーレツ」研究者だったが、42歳で父親になったことが転機となったという。そんな学者のケア論を聞きに、研究室を訪ねた。 「ワーカホリック」で働き続け 福祉社会学を専門とする兵庫県立大環境人間学部准教授の竹端寛さん(49)。「このゼミでは先生が一緒にモヤモヤを考えてくれます」。ドアの横には、学生お手製のゼミ紹介ポスターが張られ、中から和気あいあいとした話し声が漏れてくる。ソフトな印象の竹端さんだが、話を聞くと、子どもが生まれるまでは徹底的に「無駄」を排除し、成果を出そうとワーカホリック(仕事依存症)のように働き続けてきたという。 竹端さんは博士号を取得後、2年間、苦労してようやく常勤の研究職につくことができた。研究の世界では「パブリッシュ・オア
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