ジェイ・ルービンの「ハルキ・ムラカミと言葉の音楽」が面白かった。 村上春樹は長い海外生活のあいだ、米国の大学で自著に関する講演や質疑をかなりこなし、海外のジャーナリストからの取材もけっこう受けていて、そういう英語をソースとする内容がいろいろと盛り込まれて新鮮だったこと。きわめて網羅的研究書でありながら(514もの注がつくアメリカの学者の本らしい本)、全編が作品に対する愛情であふれていること。日本の本だとあんまり出てこない陽子夫人についての言及がかなり多いこと。「春樹と陽子は・・・」みたいに。村上春樹の小説の翻訳者である著者(ジェイ・ルービン)との間の私信やインタビューも情報ソースになっていること。各章の初めに、村上春樹の時代時代での著作が、どういう場所でどういう状況下で書かれたかが丁寧に書かれていること。この本自体の翻訳が読みやすいこと。 ハルキ・ムラカミと言葉の音楽 作者: ジェイ・ルー