唐突な記録映像の挿入によって、それは描かれた。いや、あれは「描かれた」とすら表現し得ない暴挙かもしれない。「戦争によって失われた領土を、平和のうちに外交交渉で回復したことは、史上きわめて稀なこと」と自負してやまない政府高官らの万歳三唱。50年前、1972年5月の沖縄返還である。同じ日の那覇で、沖縄県知事が「必ずしも私どもの切なる願望が入れられたとはいえないことも事実であります」と述べたことなど、このドラマの世界における沖縄とはおよそ無関係のように思える。 別にその編集センスを意地悪く追及するだけの理由はないのかもしれない。フィクションとしてのドラマを政治的にだけ批判しても仕方がない、そう考える人もいるだろう。そもそも、ついこの間まで単なる観光客であった私にこのような批判を行う権利はないのだろうし、実際、復帰がどうなろうと自分たちの生活には関係ない、と考えていた人たちだっていたのかもしれない
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