巨大なトラクターが轟音をたてながら、トウモロコシ畑を走っていく。9月のある日、米国中西部のウィスコンシン州で開かれた試乗会の会場は盛況だった。ハイテク制御の新型トラクターを見て、集まった農場主たちは顔をほころばす。 だが、耕作を助けるはずの機械が、長い目で見れば、母なる大地を痛めつけてしまうのかもしれない。この世界有数の沃野は、水や空気をたっぷり含んだ、やわらかな表土に覆われている。重い農機が通ると、土の中の水分が押し出され、地盤が踏み固められて、石のようにかたくなってしまう。「圧密」と呼ばれる現象だ。 地面がかたくなると、植物が根を張れなくなるだけでなく、雨水が地中にしみこまずに表面を流れて、土を浸食する。圧密が地下深くまで及べば、元に戻すのに何十年もかかる場合もある。農機メーカーは、巨大なタイヤを採用して加重を分散させたり、衛星で制御して走行ルートを制限したりと、各種の対策をとっている
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