ユーザー・インタフェース(UI)を改善する作業を始める際,ほとんど必ず質問されることがあります。「そんなことをやって得になるのか?」「費用対効果でみて有益なのか?」——。 UIを改善することが何になるのかを,下の問いで説明してみましょう。質問は簡単です。「水の流れている“蛇口”の水を止めるには,レバーを上げますか,下げますか?」です。 答えは,どちらも「正解」です。日本には,二つのUI(レバーを上げて水を止める方式と,下げて止める方式)が存在するからです。したがって答えの集計結果は,その分布を表します。私は講演などの場で何度かこの集計をしていますが,大抵はほぼ同じだけ手が挙がります。しいて言えば,「2」の下げる方がやや多いでしょうか。いずれにしろ,余り差はないと言えると思います。 この問題の趣旨は,間違った(水を多く出す)方向にレバーを動かした場合に何が起こるかを考えてもらうことです。もち
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