韓国大法院(最高裁)が戦時中の韓国人元徴用工へ賠償するよう日本企業に命じる判決を再び出した。日本が植民地にしていた朝鮮半島から日本本土へ多くの韓国人が労務動員されたが、政府は1965年の日韓請求権協定で解決したとの立場だ。これに対し、日本での戦後補償裁判に関わってきた弁護士らは声明を出し、元徴用工の個人としての請求権は「消滅していない」と指摘している。声明の呼び掛け人の一人、山本晴太弁護士(福岡県弁護士会)に聞いた。 ◇ 請求権を互いに放棄する条項は1951年のサンフランシスコ講和条約(サ条約)にもある。後に原爆被害者が「条約により米国に賠償請求できなくなった」として日本政府に補償を求めて提訴すると、政府は「自国民の損害について、相手国の責任を追及する『外交保護権』を放棄したもの。個人が直接賠償を求める権利に影響はなく、国に補償の義務はない」と主張した。 90年代には、韓国人の戦争被害者が