ひねりをきかせた言い回しが誤解を招き、まったく別の意味として、ときには真逆の意味として流通してしまうというのは、紙のメディアが中心となっていた時代から散見される事態ではあったけれど、インターネットの普及はその流通の速度と強度をより増幅させるようになった。いわゆる「炎上」というやつである。 1月23日、英『ガーディアン』紙に「ブライアン・イーノ:『われわれは40年間衰退してきた――トランプは再考する機会である』」という記事が掲載された。それはイーノ本人へのインタヴューをもとに構成された記事で、そこでイーノは、上位62人の富豪をバスに乗せて衝突させればいいなどと痛快なジョークをとばしていたので、これ大丈夫かいなと心配していたのだけれど、どうやら本当に「炎上」してしまったようである。ただし、そのジョークが原因ではない。 「40年間」というのはサッチャーやレーガンに代表されるネオリベラリズムの支配