【台北・隅俊之】台湾の李登輝元総統(88)が11日、台湾総統選(14日投開票)で野党・民進党候補の蔡英文主席(55)への支持を呼びかける広告を朝刊各紙に出した。昨年11月に大腸がんの手術を受け、療養で表舞台から姿を消していたが、与党・国民党候補の馬英九総統(61)と蔡氏の接戦が伝えられる中、テコ入れを図る狙いがあるとみられる。 「台湾にチャンスを」と題した約1000字の直筆文。「中国時報」「自由時報」など全国紙7紙に掲載された。「政府は大企業を優遇するだけで、誰が中小企業のことを考えているのか」と馬政権の4年間を批判。対中融和路線を進めた馬氏が中台関係改善を実績としてアピールするのに対して「誰が当選しても両岸関係は劇的に変化しない」と指摘し、蔡氏への支持を呼びかけた。国民党政権下で民主化を進めた李元総統は99年に「両岸は特殊な国と国の関係」とする「二国論」を打ち出した。