彼女と会うまでは、ずっと「足りない」「できない」とか思い込んでいた人生だった。 彼女は僕ととにかく違っていた。 一般には明るいと形容されるのかもしれない。情緒が安定していて、多くのことを前向きに捉えられる人だった。 どんどん惹きつけられた。生涯で1番勇気を出してアプローチしたら、なんと付き合えることになった。 かなり嬉しかった。 彼女は、一緒にどこに行っても、何をしても「幸せだね」と何かにつけて言ってくれた。彼女は自身のことを「嘘が苦手なタイプだ」とよく話していた。僕もそう感じた。僕も、彼女はなんでも素直に話してくれているように感じられた。 単純に育ちがいい人なんだと思われた。 何かと勘ぐりが強い僕には、そんな彼女とのやり取り一つ一つが本当に衝撃的だった。いつでも、素直で正直で、それでいて感情的には終始しないやりとり。一緒に過ごす時間は、僕の体に染みついた皮肉さや生きづらさを少しずつ溶かし