中国甘粛省の農村地域で発生した幼稚園「校車」(スクールバス)事故で園児19人を含めて21人が死亡した。定員9人のマイクロバスの座席を取り外し、64人の園児らがすし詰めで乗せられており、「事故は決して偶然起こったものではなかった」(中国紙・新京報)。中国メディアはその背景に何があるか、突っ込んだ調査報道と論評を展開しているが、この事件から何が見えてくるのだろうか。 「民衆より国家」「農村より都市」「子供より大人」――。そこから浮かび上がるのは、常に社会的弱者がないがしろにされる中国国家体制の限界ではないだろうか。 園児737人に対して 送迎バスはたったの4台 事故が発生したのは甘粛省正寧県。11月16日朝、石炭を運んでいた大型トラックと、「小博士幼稚園」の送迎バスが衝突した。死亡した19人のほか、44人の園児が負傷した。 バスは定員オーバーに加え、霧で視界が悪いにもかかわらず、制限速度60キ